mizukamezasan’s blog❀

日記 思いつき 詞など

嫉妬した「私」

宮沢賢治 やまなし


やまなし

童話絵本 宮沢賢治 やまなし: 童話絵本 (創作児童読物)


国語の教科書で読んだ記憶で、忘れることができないフレーズがある。
クラムボン

蟹の兄弟が話しているのだが。
詳しい話は忘れてしまったので、やまなしの内容はこの記事を書いた後にゆっくり読むことにする。
気になる方は、ご自身で読んでいただきたい。



これから書くことは、自分が子供の頃に読んで感じたことを想起しながら書いていきたい。
根拠も論証もない。
勿論、歳を重ねた自分が書いているので、全てが子供時代の考えとは言えない。
上記を前提にして読んで頂けたら嬉しい。



クラムボンとは、何だ??
その質問に自分は、悩んだ。
多分、そんな授業の流れだったのだろう。
とりあえず、泡だとか何とか書いたのかな??
覚えていないくらいなのだが。
悩んだわりには、内容が覚えていない。
ただただ、クラムボンの名だけは忘れられなかった。



国語の教科書に出るくらいだから、宮沢賢治はすごい人で、きっと大人には分かる、何かなのだと、漠然と思ったのは覚えている。
もしかしたら、教科書には全文は掲載されておらず、冒頭だけだったかもしれない。

そして、よく分からないクラムボンを出してきた著者に対して、何を言ってるのか、全く分からないと憤りに近い感情を持ったのと、分からない自分は凡人なのだと思った記憶がある。




すごい人の生み出した呼び名。
作品の中で生まれて、他者に分からなくても成立することが、子供の自分には理解できなかった。
今で思えば、なのだが、
とてつもなく嫉妬したのだと思う。
このすごいだろう、先生に。



ここにいる、生存してるはずの私の言葉は、両親にも先生にも、友達にも、上手に伝えられない。
自分の発する言葉、当たり前だが私の知っている限られた言葉で伝えようとした。
必死に伝えようと躍起になればなるほど、辛辣で、相手がどう思うかなんて考えられる余裕もなく、攻撃的になっていたのだと思う。

こんなにも、言いたいことがあるのに。
伝わらない。


あの教科書に載るような、すごい先生みたいにならないと、誰かの目にとまらないし、考えてはもらえない。


クラムボンが笑ったよ。

怒るわけでもなく、泣くわけでもなく、はたまた無表情なわけでもなく。
もしかしたら、そこはあえて表現しなかったのだろうか。やっぱり分からない。
これは、今の考え。子ども時代はそこまで考えていない。


宮沢賢治先生、ごめんなさい。


私はあなたの伝えたかっただろう事に関しては、全く触れるわけでもなく、ただあなたに嫉妬した。
あなたを知ろうともせず。
あなたが何を伝えたかったかを考えるよりも先に。

ただ、文学の中に感じる事が目的とされることが含まれているとするならば、やはりあなたはすごい人だ。
子どもの私を嫉妬と憤りを感じさせたのだ。
あのフレーズだけで。


ここで奮起して、すごい文豪になって自分の思いを伝えてやるんだー!!
って、考えにならないのがやはり凡人。
「私」の中では、普通でいるのが目標だから仕方がない。

もし子どもの時に、
宮沢賢治は、クラムボンってよく分からない言葉を言ってる、使ってるにも関わらず許され、考えてもらえてるのがズルいし、羨ましい。

なんて、言ったら、やっぱり変な子どもなのだろうか??
物語の内容ではなく、著者にフォーカスを当ててしまっているあたり、ピントがずれてるわけだから、授業をする先生側からしたら困るのだろうか?


とかく、教育現場では、思ったことを言って良いってよく大人は言うが、本当に思ったことを言ったら、怒るかもしれないし、変な空気が出る時がある。
「私」はそう思っていたし、今でもその考えは変わっていない。


話がズレてしまった。


もしかしたら、「私」が知らなかっただけで、同じように感じた子もいたのだろうか?
やはり素直に「物語」を読む子の方が多いのだろうか?

自分はどのように物語を読み込んだかは、全く覚えていない。
おそらく「私」は、先生が望んだセオリー通りの答えをしたのだと思う。
小学生くらいなら、
まだ成績は良かったはずだから。



このブログを始めて、急に思い出した。
本の感想などを、よく読むようになったからだろう。
本来ならば、読んだ感想やら、構想を書くところなのだろうが。

本当に怠惰で申し訳ないが、自分はこの場では書かない。

でも、「やまなし」の記憶がこのままではいけないと思っているので、これから読んでみる。


きっと今の「私」は、あの頃の「私」とは違うから。同じ私でも、物語が素直に読めるはずだ。


でも、読んだ感想は、書かない。


20年以上も前に読んだ記憶がよみがえり、
読ませてしまう。
すごい本。
すごい人。


やっぱり嫉妬してしまうから。



※投稿時は、読み終わってます。
お邪魔させて頂いたブログもあります。
ありがとうございました。



やまなし (ミキハウスの絵本)